事実を知るために汗をかく。考えるために必要な情報やデータを探す。その作業に時間をかけてこそ、意味のある示唆を得られる。そのスキルを「計算力」と定義して、拙著『ビジネスプロフェッショナルの教科書』(日経BP社)の内容をベースに、いくつかの基本的なテクニックを紹介する。 旬の食材を使って何かを作ろうとする料理人は、まず素晴らしい食材を手に入れるために足を使い、その食材にひと手間かけて、最高の料理に仕上げていく。計算力を使ったロジカル思考は、まさにこうした作業にほかならない。 まずは前回紹介したロジカル思考ツール「PAC」を使って、原因仮説の応用編を解いてみたい。テーマは「出生率の低下が、本当に人口減少の原因なのか?」。この言説を噛み砕き、自分の意見を持つためには、いくつかのデータを検証し、計算力を発揮することが求められる。 おさらいになるが、PAC思考とは、議論(argument)をロジカルに