「息子の死が無駄にならないよう社内であったことを知りたい」-。一昨年、オフィス機器大手のリコーで退職勧奨を受けて会社を辞めた後、自殺した男性の父親(71)が六日、都内で記者会見した。昨年十一月、東京地裁は、男性とは別に勧奨を拒んだ同社社員二人に対する子会社への出向命令を無効と判断。これ以外の社員五人による訴訟では退職を繰り返し迫るマニュアルの存在も明らかになっている。男性は無情なマニュアルにより退職に追い込まれ、亡くなっていった。 (小林由比) 自殺したのは後藤世良治(せりょうじ)(本名・セルゲイ)さん=当時(46)。ロシア人の母の再婚に伴い十一歳で来日。堪能なロシア語や英語を生かし大手貿易会社で働いた後二〇〇二年にリコーに移り、海外営業を担当した。 しかし、一〇年十月ごろ仕事を任せてもらえないことなどを悩むようになり心療内科も受診。一一年春から始まったリストラ計画により四回の退職勧奨を受