【ジャカルタ佐藤賢二郎、バンコク岩佐淳士】領有権を巡り、日中が対立する尖閣諸島(中国名・釣魚島)と同様の構図が、南シナ海では20年以上にわたって続いている。外交による交渉が長期化する中、南シナ海の領有権を主張する中国に対し、東南アジア諸国連合(ASEAN)の一部加盟国は、共同パトロールを計画している。しかし、こうした動きは南シナ海での軍拡競争に拍車をかけ、地域の安全保障にも影響を与えている。 8月下旬、南シナ海を巡り、中国と激しく対立するフィリピンに、中国と領有権問題を抱えながらも先鋭化を避けたいマレーシア、インドネシアの国防省幹部が集まった。会談後、フィリピンのガズミン国防相は、南シナ海での共同パトロールについて協議したことを明かし「あくまでも、海賊や密輸対策が目的だ」と付け加えた。