とりあえずはセックスシーンでの淫語のことを訊かれたものとしてお話ししましょう。これにはいくつかの源流があり、私はそれをアレンジメントしたことになります。 まず、90年代の後半、商業デビューの少し前から下品帳というらくがき帳を付けるようになって、そこでは「自分の嗜好を越えて下品なセリフや描写を書くこと」を目標に、実験的ならくがきを書きためていっていました。自分なりにエロを極めるためです。やらしいという言葉があります。嫌なのがエロい、といった魔法がエロにはつきまとっているわけです。だから、自分の嗜好を越えて嫌だと思う領域まで踏み込み、それはエロくないかどうかを踏査しなくてはならないと考えたわけです。 たとえば「ケツマ●コ」とかはもともと、ゲイ界隈で使われていた言葉で、それをネット経由で知った私は女性のアナルにも積極的に転用すべきだと考えました。嫌な言葉をやらしい言葉に変えるわけです。 あ