週刊誌が今、過激さを競い合うのは活字不況、つまり売れないのが大きな理由ではないか。かつて1誌で100万部も売れていた時代は夢の夢。万人を納得させるより、敵か味方か、白黒はっきりさせて、数は減ってもそれを好んで買ってくれる読者に的を絞る方が何とか商売が成り立つかもしれない。で、エスカレートする−−。 一昨年春、本コラムの1回目にこんな話を私は書いた。既に連載中止が決まった記事を蒸し返すのも……と思ったが、あのコラムを書いて以来ずっと同じ問題意識を持ってきた者として、やはり触れざるを得ない。橋下徹大阪市長の出自を暴き立てようとした「週刊朝日」の記事である。 先週のTBS「みのもんたの朝ズバッ!」でも話した通り、一読して感じたのは「これは許してはいけない」という怒りだった。少なくとも編集部は橋下氏から反論されるリスクは認識していただろう。いや、むしろ反論してもらいテレビやネットで話題になった方が
◇来場ママ「見学し安心感」 自宅出産で生まれた直後の赤ちゃんと家族を撮影した写真展「生まれる~家族の看(み)まもりの中で」が10日、名張市桜ケ丘の市立図書館で始まった。初めて授乳される赤ちゃんや、新しい命を迎えた家族の喜びを切り取った200点が並ぶ。 被写体は、津市美杉町の助産師、勝原則子さん(48)が前住地の大阪府で生まれた赤ちゃんと家族。初めての我が子を食い入るように見つめる父、出産を見守って感動の涙を流す姉といった写真のほか、姉が母を励ますため、生まれたばかりの妹を抱く母の姿を描いた絵などもある。 勝原さんは年間10件前後、自宅出産を手がけており、中には頭まで生まれ出た我が子を「自分で取り上げたい」という母もいるという。勝原さんは「自宅出産は、安全を保証できる範囲で、注文に対応できるオーダーメードのお産」と言う。 2歳の長男を連れて見学に来た名張市の主婦(33)は「上の子の世話がある
郡山市で12万部を発行するタウン情報紙「ザ・ウィークリー」(5月7日号)が、放射線で「頭もよくなった」などと被ばくの“効能”を強調する記事を、実在の大学教授からの寄稿と偽って掲載したことが分かった。名前を使われた長崎大特任教授の宮里達郎氏(69)は「寄稿した事実はない。私が被爆者であることや肩書が勝手に使用されたのではないか」と話し、法的措置を検討している。 同号には「特別寄稿 福島への手紙1『長崎から』」との見出しで「長崎では被爆者が『原爆投下直後に、どんな野菜でも魚でも平気で食べた。おかげさまで、身体は元気で頭もよくなった。世間では何を騒いでいるのか!』と話しています」「被爆者は長命であるとのデータもあります」などと書かれ、「九州工業大学学長 宮里達郎」との署名がある。 宮里氏は、同紙の編集者と面識はなく、「学長」も8年前に退任している。宮里氏の知り合いの別の大学教授が郡山市で講演した
自転車の盗難を防ぐため、県警が推進中の「思いやりロック作戦」。開始から1年の9日、県内13の警察署が、各地で自転車への施錠を呼びかけるPR活動を展開した。 作戦は、駅周辺など23の駐輪場で、警察官や警備会社のパトロール隊員が、無施錠の自転車を見つけては特製の鍵を掛け、盗難を未然に防ぐという内容。持ち主が鍵に記載された連絡先(警察署)に電話すれば、24時間体制で署員が解錠に出向く。 宮崎市のJR宮崎駅では、宮崎北署員ら約50人が、通行人にチラシを配って施錠を呼びかけた。甲斐義勝生活安全課長は「作戦開始後、自転車盗の発生件数は確実に減っている。鍵をかける意識を浸透させていきたい」と話した。 県警生活安全企画課によると、昨年発生した自転車盗難事案は2542件(前年比69件増)。窃盗6940件の4割弱を占めた。ただ、今年1~5月の発生件数は791件(同318件減)だった。【中村清雅】
来月、大阪社会部に異動します。当コラムを私が書くのは今回が最後です。ちょうど80回目になります▲この欄で常に意識していたのは「ゼロリスクはあり得ない」という立場から、紙面で触れられることが少ない疑似科学や代替医療などの話題を取り上げ、自分なりの論評を加えることでした▲小さいコラムながら読者の皆様からの反響も多くあり、励まされました。記者としてのスタンスは新天地でも変えません。引き続き、よろしくお願いします。【石戸諭】
「餌不足のクマ」のためにドングリを山にまく行為が専門家から問題視されている、という記事を書いた。ある自然保護団体から「一方的な記事。自分たちの主張も書いて」と要望もあったが、多くの読者からは「やっと新聞が書いてくれた」と好意的な反応をいただいた▲「やっと」には理由がある。ドングリをまくことの問題を考えずに「善意」を礼賛する報道が多いのだ。困った現象だがまだ変えられると思う。読者の反応から、そう確信した。【石戸諭】
「麻疹(ましん)などを予防する新3種混合(MMR)ワクチン接種と自閉症発症に関連がある」。98年、英医学誌に発表された説だ。当初から研究者によって批判され、調査結果自体も「でっち上げ」だった▲だが、この説は一気に広まっている。メディアが「危険性」をあおったためだ。英国ではワクチンの接種拒否、はしか感染者が増えた。いいかげんな説を信じて危険性を訴えた結果、別の危険を生みだす。日本でもよくあることだ。人ごとではいられない。【石戸諭】
140字以内の「つぶやき」を流すインターネット上のサービス、ツイッターを使い始めて4カ月が過ぎた。最大の魅力は読者とダイレクトにつながれることだ。記事やつぶやきに対する反応をすぐに知ることができる▲双方向のやり取りから新しい視点を得ることも多く、良質のネットワークが広がる。いたずらにネットを敵視する声もまだまだ多いが、メディアを巡る環境は確実に変わった。それも良い方向に。今年もこの流れは止まらないだろう。【石戸諭】
消費者庁が「がんに効く」などの誇大広告で健康食品を売る悪質業者名の公表を決めた。消費者の財産と健康を守るために意義がある。 誇大広告は、客観的な証明がないまま美容や病気への効果をうたい、特定の商品や医療サービスを売り込む。「喜びの声」を集めた体験談が定番だが、暗示によるプラシーボ(偽薬)効果の過剰な評価や、最悪の場合、捏造(ねつぞう)の可能性もある。 「まずは疑え『健康食品』」(05年)▽「代替医療は玉石混交」(06年)の記事で、詐欺的商法(あえてこう呼ばせてもらう)を批判したことがある。提唱・推進者は概して、興味を抱いた買い手には親身に利点を説く。一方、疑問や批判を受け付けない独善を、取材で実感した。 魅力的な広告を信じたくなる人間の心理は否定できない。現代の科学やそれに基づく医療も万能ではないが、地道な事実の積み重ねの上に成立、進歩していることを忘れてはならない。 たとえ善意でも、妄信
マスコミの世論調査に対し種々の批判があるが、その中に「電話調査は固定電話が対象で、携帯電話しか使わない若者の意見が反映されないから不正確だ」「若者はインターネットを利用しているからネット調査のほうが正確だ」といった声が少なくない。しかし、調査を詳細に分析すると、こうした批判は、客観的なデータに基づかない感覚的な議論であることが分かる。調査の正確さを常に検証するのは当然だが、冷静に数字を分析し、活用してほしい。 まず携帯電話しか持たない「携帯限定層」の問題を考えよう。確かに電話世論調査は家庭の固定電話が対象で、携帯電話にはかけない。とはいえ、ふだん携帯電話しか使わない人も、自宅に固定電話があれば対象になる。 毎日新聞の世論調査は、対象の固定電話番号をランダムに作成して電話する。最初に出た人にだけ回答を求めることはしない。まず有権者数を聞き、複数いる場合はその中から無作為に1人を選んで調査を依
ホメオパシーについて書いたコラムに、読者から建設的なコメントを多くいただき、朝日新聞のツイッターにも取り上げられました。みなさま、ありがとうございます。すべて読んで、こう思いました▲マスコミがよくて、インターネットだからダメなんて時代は終わった、と。媒体を問わずダメなものはダメです。そこで一つお願い。良い記事に称賛と要望を、変な記事には建設的な批判を。相互対話で磨きあう新聞と読者の関係はまだまだ可能です。【石戸諭】
今月初旬、取材に訪れたベルリン郊外のベルリン自由大学。キャンパスを案内してくれた老気象学者が白いしゃれた建物を指さし、「ここに来るといつも複雑な気持ちになる。日本人なら分かるだろうが」と静かに語った。 第二次世界大戦直前の38年、ドイツの科学者、オットー・ハーンらが原子核が分裂する現象(核分裂)を発見した場所だった。この発見は人類に新しいエネルギー源をもたらし、ハーンは44年のノーベル化学賞を受賞した。 同時に、核兵器の開発にもつながった。伝記によると、米国が広島に原爆を投下したニュースを聞いたハーンは取り乱し、「私は数十万人の死に個人的な責任がある」とまで言ったという。彼自身はナチスに非協力的で、後年は核兵器反対運動に尽くした。 科学の記事を書いていると時々、「科学の発展は人間を幸福にしているか?」という疑問の手紙をもらう。科学の知見をどう利用するかは結局、社会や政治が決めることだが、科
Gov't to compensate farmers for losses due to foot-and-mouth disease TOKYO (Kyodo) -- The farm ministry on Friday unveiled the government's additional measures over the foot-and-mouth disease outbreak in Miyazaki Prefecture to compensate farmers for slaughtered cows and pigs at market values, rather than uniform rates as initially planned. The government will also shoulder the cost of feed for the
TBS系で昨年12月に放送された詐欺事件の特集で、企画を持ち込んだ通信社のスタッフが不適切な取材をしていた問題で、スタッフが取材対象者の車に無断で発信機を取り付けていたことが16日、分かった。 TBSが同日放送した「報道特集NEXT」の中で明らかにした。対象者の居場所を把握するため、6月と9月に発信機を付けたという。こうした取材についてTBSは「報道倫理上、認められない。不適切な取材が行われていないか確認する責任があり、深く反省しています」などと謝罪した。TBSはこうした行為を知らされていなかったという。 この特集は「報道特集NEXT」などで放送された。企画を持ち込んだAPF通信社(東京都)のスタッフが、対象者あての郵便物を無断で開封したことも明らかになっている。
食べないからって、頭としっぽがないんじゃタイの塩焼きもありがたみがない。三遊亭金馬師匠が芸術文化への政府支援縮小方針に注文をつけた。うまい。核心を突きながら、嫌みがない。 事業仕分けの余波が続く。科学分野からは抗議の声が津波のごとく押し寄せた。科学も「頭やしっぽ」を持っている。すぐに役に立つわけではなく、永遠に役に立たないものもある。それでも私たちの心を豊かにしてくれるという点で、芸術や文化に似る。 研究者の多くはそれを知りながら、研究費獲得のためには有用性を強調するという両面作戦で生きてきた。結果として世間には「科学は役に立つべし」という価値観が根付き、役に立たないと判断された研究が危機に立っている。 先日、若い研究者約40人が東京に集まった。文化人類学、文学、天文学、理論物理学など、いわば「頭やしっぽ」の世界の人たちである。20代から30代、雇用も不安定。「科学は文化だ」などと悠長なこ
日本特有の悪しき制度、記者クラブ。日本の大手マスコミしか基本的に加入できない会員制度を設けており、会員以外を記者会見からシャットアウトするこの制度を、ニューヨーク・タイムズが記事として取り上げていた。 記事の主な内容は、この制度のために亀井金融相が週に2回連続して記者会見を開いているというものだが、この中で記者クラブの廃止について聞かれた毎日新聞の古田信二記者が、驚きの回答をしていた。 「(記者クラブは)そんなに閉鎖的ではありません。ケース・バイ・ケースで非会員の参加も認めています。(仮に廃止したとして)もし偽ジャーナリストが記者会見中に自殺や焼身自殺をした場合、一体誰が責任を取るのですか?」 この記者は何を言っているのだろうか? 記者クラブは国境なき記者団をはじめ、EUやOECDに「閉鎖的だ」として批判され続けている。外国政府が圧力をかけなければ門戸を開かない記者クラブのどこが“解放的”
あまりのひどい記事にコピペをする気にもなれないが・・・ 毎日新聞北海道版に次の記事が載ったようだ。 http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/hokkaido/news/20060823hog00m040010000c.html ********************************************************* 現代医学のがん治療批判:札幌のジャーナリストが本を出版 札幌市西区のジャーナリスト、稲田芳弘さん(60)が自身のがん体験と、現代医学では異端扱いされているがん理論「千島学説」に基づき、現代医学のがん治療への批判を400ページを超える大著「『ガン呪縛』を解く」にまとめ出版した。書店で取り扱っていないが、約2カ月で2000部以上が売れ、静かな反響を呼んでいる。 稲田さんは昨年5月、男性には珍しい乳がんと診断された。進行度
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