2006年、英ピルキントン社(以下、ピル社)を買収し、「小が大を呑む」と騒がれた日本板硝子の藤本勝司会長が、その失敗の責任を取り、3月31日付で退任した。 同社は06年のピル社買収以来、外国人社長を2名起用したが、いずれも短期間で辞任し、経営が混乱していた。 だが、その経緯を振り返ると、同社ではトップが自分の名声欲のために経営を弄び、会社を凋落させた姿が浮かび上がってくる。 藤本氏は04年の社長就任以来、当時の出原洋三会長と共にグローバル化を推進、06年に売上規模が倍のピル社を6160億円で買収、子会社化した。それにより日本板硝子はいきなり世界29カ国に拠点を持つグローバルメーカーに変身。海外売上比率もそれまでの約20%から一挙に80%近くに拡大した。 だがこの無謀なグローバル化が、同社凋落の引き金になった。 ●「説得セールス」に乗せられた巨額買収 1826年創業と、187年の社歴があるピ