日産自動車のカルロス・ゴーン前会長を巡る事件報道が再び過熱している。4度にわたる逮捕劇に加え、記者会見を阻まれたゴーン前会長本人が無実を主張している動画を弁護団が公開するなど、劇場型の展開が続く。 日産や検察、弁護側のリークとみられる情報が錯綜する一方で、問題を単なる同社の“お家騒動”に終わらせず、「ゴーンとは一体、何者だったのか」と問う言説が現れ始めた。朝日新聞記者時代から長年にわたり日産とゴーン氏を追い続け、『日産vs.ゴーン 支配と暗闘の20年』(文藝春秋社)を2月に上梓した井上久男氏も警鐘を鳴らす1人だ。 前編記事(「ゴーンという『怪物』を生んだのは誰か 日産“権力闘争史”から斬る」)では、ゴーン前会長の登場前から「独裁者」が現れ、派閥抗争を繰り広げてきた日産の歴史をひもとき、“怪物”を生み出した土壌について指摘した。後編では、ゴーン前会長に何度も単独インタビューをしてきた井上氏に