何か問題を起こして「アートだから」と弁明するのは結局、自己保身でしかあり得ない。常識や価値観の転倒を目的に「アート」を実行しておきながら、ひとたび問題が起きれば「アートだから」「表現の自由だから」と常識や価値観にすがる姿勢は自家撞着でしかない。 一方で常識を壊すといい、他方で常識に助けを求める姿は、「アーティスト」の名にまるで値しない。 表現と制約を両立させること たとえば建築が安全に関するレギュレーション(建築基準法等)をクリアしながら表現していくのと同様に、他者を傷つけないことと表現することとは両立させられる。自身が表現したいもの、あるいは転倒させる価値のコアを精確に特定した上で、そのコアと現実的な条件がどのように折り合うか、昇華させられるかを模索する。 そうした作業を曖昧に放棄しておきながら、そのことで問題を起こした末に「アートだから」と口にする。そうした振る舞いは、知性の欠如か精神