「死ぬまでやってくれる」――。当時、元請けのITベンダーからこう評されるほど「下請け精神」が染みついていたIT企業がある。社員約160人のシステムインテグレーター(SIer)、シナプスイノベーションだ。同社はSEを客先に常駐させるSES(システムエンジニアリングサービス)事業では自社に何も残らないと「元請け」になる決を固め、今では大手ベンダーを提案コンペで打ち負かす元請けSIerに昇格した。 常態化する長時間労働、元請けは丸投げ シナプスイノベーションは1984年の設立以来、約30年にわたって下請けSIerを務めてきた。同社の藤本繁夫社長は「元請けが手掛ける上流工程の遅れをそのままかぶり、労働時間のコントロールは全く利かなかった。深夜残業や休日出勤は当たり前。一人当たりの月平均残業時間は200時間を超えていた」と当時を振り返る。 元請けからの“丸投げ”も珍しくなかった。ユーザーとの折衝やプ