政治の道具 トルコには世界的に貴重な遺跡がたくさんあるが(イズミールにある古代ギリシャの遺跡) Osman Orsal-Reuters 1878年、ドイツの建築家カール・フーマンは、当時のオスマン帝国のスルタン(君主)から正式な許可を得て、トルコ西部ベルガマの丘陵地帯で遺跡発掘作業を始めた。紀元前3〜2世紀頃に栄えた古代都市ペルガモンがあった場所だ。 フーマンが発掘した遺物の1つが「ゼウスの大祭壇」。ギリシャ神話の神々と巨人たちの戦いをテーマにした浮き彫りが特徴の巨大な祭壇だ。大祭壇はスルタンの許可を得てドイツに運び出され、この遺物を収納するためにベルリンに建設されたペルガモン博物館に今日まで所蔵されている。 そしてフーマン以降およそ130年間、ドイツの考古学者たちはペルガモン遺跡の丁寧な発掘作業を続けてきた。 何世代も続いてきたこの学術研究活動が今、危機に直面している。トルコ政府は、国