茂木健一郎 鳩山由紀夫さんの政治理念を象徴する言葉である「友愛」。今こそ、この言葉をかみしめ、活かし、深化させる時期が来ているように考えます。 世間では、「友愛」という言葉のニュアンスが、現実を直視しない甘い認識であるかのような印象もあるようです。「友愛」を唱える鳩山由紀夫さんを、浮き世離れした「宇宙人」と評する向きもある。しかし、実際には、「友愛」は、厳しい現実認識に根ざした、実践的な政治思想なのです。 「友愛」を最初に唱えたのは、オーストリア・ハンガリー帝国の駐日大使を父に持ち、日本人を母に持つリヒャルト・クーデンホーフ=カレルギーでした。クーデンホーフ=カレルギーが、その著書『Totaler Mensch, totaler Staat』の中で唱えた「Brüderlichkeit」(友愛)の概念が、鳩山由紀夫さんの祖父であった第52、53、54代内閣総理大臣、鳩山一郎さんに大きな影響を