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ブックマーク / tanakahidetomi.hatenablog.com (53)

  • “武藤敏郎ショック”を避けよ

    二週間ほど前に、クルーグマンの「1ドル100円超え アベよ、これでいいのだ」のインタビュー記事の次に、『週刊現代』に長めのコメントが「アベノミクスに反対する人たちへ」として掲載されてました。そこでいま最も重要だと思うのが以下のものです。 「仮に財務省出身の武藤敏郎氏が日銀総裁になれば“武藤ショック”が起こり、株価は失速するでしょう。財務省、日銀と無関係で金融緩和に積極的な人を総裁に任命すれば、安倍政権は官僚をコントロールしていることが示せてさらに株価は上がると思います」 「02〜07年の景気の時に給料が上がらなかったということで、アベノミクスを批判する人もいます。しかし、それは、インフレ政策が中途半端だったため。経済が格的な成長を迎えるまえに失速してしまい、給料が上がるところまでいかなかったのです。理想を言えば、経団連が春闘は今夏のボーナスで賃金を上げると宣言すれば、経済はより早く立ち上

    “武藤敏郎ショック”を避けよ
  • 岩田規久男先生の学恩に感謝する会!!

    日、標題の会が学習院大学とその周辺で行われました。シンポジウムとその後の懇親会に参加してきました。まさに岩田先生の御関係者を含めて、日のリフレ派の8割ぐらいは参加していたでしょう。都合がつかずにお会いできなかった方々を含めて、リフレ政策に関心のある方々のために、この充実した会合のほんのさわりをご紹介します。シンポジウムでは、八田達夫先生(「都市経済学者としての岩田先生」をご報告)、日引聡先生(「環境経済学者としての岩田先生」)、そして山崎福寿先生(「教育者としての岩田先生」)の諸先生方のご報告があり、それぞれが岩田先生の素晴らしさ、なによりも実践的な経済学の側面を明らかにしていて興味深いご報告でした。 すでに山形浩生さんが今日のシンポジウムをご紹介されてます(http://d.hatena.ne.jp/wlj-Friday/20130217) 以下では、私も最も関心があり、また少なから

    岩田規久男先生の学恩に感謝する会!!
  • 財政政策ならば防衛支出を増やす方が望ましいのではないか?(田中秀臣、飯田泰之、原田泰諸氏の主張再考)

    現状のデフレ脱却については日銀行の政策転換という金融政策の在り方を変えることがデフレ脱却の必要条件と考えている。 しかし財政政策をあえて積極的に行うならば、それは公共事業の景気拡大効果という「神話」にすがるべきではない。もちろん社会的に必要なインフラ整備は行う、復興事業に必要なものは行う、更新投資も必要なものはすればいいだろう。しかし政策目的が、デフレ脱却ならば、その効果は効率的なもの、すなわちできるだけ社会的に無駄でないものが望ましい。その点で公共事業に依存するのは誤りだ。この政策目的と手段の割り当てが、公共事業中心主義の人にはまったく理解されていない。 多くの間違いは、政策目的に、デフレ脱却、復興目的、災害対策、更新の必要性などが一括してあたかもひとつの目的としてくくられているからだ。その混在一体としたごちゃごちゃなんでもかんでも混ざった目的に対応するのが公共事業だ、というわけだ。ま

    財政政策ならば防衛支出を増やす方が望ましいのではないか?(田中秀臣、飯田泰之、原田泰諸氏の主張再考)
  • 荻上チキ『彼女たちの売春(ワリキリ) 社会からの斥力、出会い系の引力』

    素晴らしいだ。それ以上に研究とは、啓蒙の在り方とは、そしてそもそも人間とはなんだとろうか、という思いを何度も書の通読中に思った。語り口はやわらかくまた優しいが、時に熱情的なメッセージが冷静に刻み込まれている。同時代の“全体像”を出会い喫茶、出会い系という風俗を通して描いた著作だ。多くの人が長くこの著作を読み、私たちがいま生きている2010年代の肖像として今後利用していくだろう。それほどの著作だ。経済思想史的にいえば、これはまさに現代の『貧乏物語』なのだ。河上肇のこのベストセラーが、当時の日の現実で「貧乏」を描くことなく同時代のイギリスの状況を描いたことに対して、書は現在の日の「貧乏」ではなく、ありのままの現在の日の「貧困」を描写しようとしている。そしてその試みは私の思うところ、きわめて深いレベルで成功している。 書の出会い喫茶調査(時間的にも地域的にもかなりのサンプル収集と

    荻上チキ『彼女たちの売春(ワリキリ) 社会からの斥力、出会い系の引力』
  • 武藤敏郎氏など財務省的な日本銀行総裁人事はデフレ不況脱却を妨害する

    アベノミクス(安倍首相の物価目標政策などのデフレ脱却政策)は危機に直面している。いや、日を20年にわたり停滞させているデフレ脱却はその実現の危機に早くも直面しているといったほうがいい。 たかだか0.1%程度の長期利子率上昇で国債リスクを喧伝したり、人口減少デフレを喧伝したりするのは、まだ悪い冗談のレベルだ。だが、日銀行総裁人事を、いま話題になっている武藤敏郎氏などの財務省的な人事や、または保守的な人選で行えば、アベノミクスは急速にその成果を喪失し、民主党政権とかわらない。一年後には消費税増税だけが残り、そしてデフレ不況は継続して、国民の大きな失望の危機に直面するだろう。 端的に言おう。財務省、日銀行は自分たちの周囲しか視野はない。またその行動動機は「自社」の利害のみである。最近の武藤氏らの積極的な緩和許容発言には誤魔化されてはいけない。おそらく当面だけ緩和のような姿勢をみせながら、消

    武藤敏郎氏など財務省的な日本銀行総裁人事はデフレ不況脱却を妨害する
  • 宮崎哲弥「日本という“悪い”場所」『宮崎哲弥の時々砲弾』in『週刊文春』1月3日10日合併号

    いま店頭にある『週刊文春』の宮崎哲弥さんの論説です。日銀行問題をめぐるマスコミでよくみかける主張への反論を書いています。内容は全面的に賛成です。ぜひ一読お願いできればと思います。「安倍首相の大胆な金融緩和などは日銀行の独立性を侵犯する」、だとか「日銀法の改正に物価の安定に加えて雇用最大化をいれるのはおかしい」とか「金融緩和をやっても物価があがるだけ」とか「モルヒネ的な景気浮揚策ではなく、潜在的成長率の引き上げを図れ」とか、そういうよく見かける俗説に、宮崎さんは論理と証拠でわかりやすくそれらが誤っていることを書いています。岩田規久男先生の『新潮45』の論説と一緒にぜひ手元に保存していただきたいですね。 ここでは簡単に「モルヒネ的な景気浮揚策ではなく、潜在的成長率の引き上げを図れ」についての宮崎さんの批判をご紹介します。この部分の詳細も誌を読んでください。 1 潜在成長率は資、労働力、

    宮崎哲弥「日本という“悪い”場所」『宮崎哲弥の時々砲弾』in『週刊文春』1月3日10日合併号
  • 2013-01-01 - Economics Lovers Live Z 2012年に出版された経済書で心に残るベスト3 発表!

    明けましておめでとうございます。今年もこのブログEconomics Lovers Liveを御贔屓のほどよろしくお願いいたします。日がデフレを完全に脱却してリフレーション過程に入るかどうか、そのまさに瀬戸際といいますか、希望と不安の感情といいますか、いままでにない新年を迎えています。このブログではなるべくその時々の経済問題を現実的な視点を意識してとりあげていきたいと思います。 さて新年最初のエントリーは、Twitterで呼びかけさせていただきました、「#2012年に出版された経済書で心に残るベスト3 」の結果を発表させていただきます。有効投票者数は100人以上の方になりました。またRT数は数限りなしです。集計の仕方は順位をつけていただいたものに、1位に3点、2位に2点、1位に1点とし、同位になった場合は半数ずつを、またご希望により順位外のものにもそれぞれ0.5点をつけて集計しました。また

    2013-01-01 - Economics Lovers Live Z 2012年に出版された経済書で心に残るベスト3 発表!
  • 飯田泰之『飯田のミクロ』

    かなり前に読み終わってたのですがブログでの紹介遅れました。経済学のわかりにくさは、その数学とかモデル構築の論理性にあるのではなく、経済モデルの前提になっている方法論的個人主義などの思想的な想定にある、という飯田さんの指摘は正しいと思います。僕もそれを説明したく、いまのAJERの経済思想史塾をやっているというのもありますが。 書はミクロ経済学(個々の主体の行動を分析する分野)のわかりやすい、先ほどの経済学が暗黙のうちに想定している前提を明らかにしながらステップを踏んで解説した入門書プラスアルファのです。 僕が学生のときは、わりとあったタイプの新書(文庫)で、かなりカチッとした内容のものです。これを読めば、例えばネットでもしばしば話題にあがる比較優位についても誤解は少なくなるでしょう。僕はいままで経済学をとくに専門としていない大学院生に教える機会がありましたが、これからはこのを指定テキス

  • 経済学を楽しく学ぶには? 正月休み用読書&動画リスト

    お正月休み用のブックガイドと動画をご紹介 経済学を専門にやっている学生でもなければ、順を追ってミクロ経済学、マクロ経済学、計量経済学をそれぞれ学ぶよりも僕は経済思想史を勧めたいです。なぜならたとえ経済学が身につかなくても(笑)、歴史、思想、政治、法律、文学、芸術、人間の伝記的知識、語学に数学など、教養を幅広く得ることができるからです。もちろん歴史的に物事をみれると、批判的精神もつきますよ。 以下では経済思想史だけではないんですが、最近出たもので、いま学生などにすすめているを中心に以下にご紹介。 1 猪木武徳『経済学に何ができるか - 文明社会の制度的枠組み』 まず経済学を幅広い思想と歴史的文脈の中で再検討したこの新書は読みやすく問題意識を身に着けるのでいいと思います。僕もいままさに読んでますが、猪木先生の著作はすべて読んでほしいものばかりですね。 経済学に何ができるか - 文明社会の制度

    経済学を楽しく学ぶには? 正月休み用読書&動画リスト
  • 浜田宏一『アメリカは日本経済の復活を知っている』

    浜田先生の新刊。形式はエッセイ調であるが、憂国と救国のメッセージに満ちていて、また世界のトップクラスの経済学者たちがどのように日の経済を冷静にみているかがわかるすぐれた書籍である。また日の経済問題の核心であるデフレを伴う長期停滞について、それを日銀行の政策の失敗であること、それを解消するのは、期待(予想)に訴える金融政策を主軸にしたリフレ政策であることが明言だれている。 「結論からいおう。20年もの間デフレに苦しむ日の不況は、ほぼすべてが日銀の金融政策に由来するものである。白川総裁は、アダム・スミスから数えても200年あまり、経済学の泰斗が営々と築き上げてきた。いわば「水は高いところから低いところに流れる」といった普遍の法則を無視している。世界孤高の「日銀流理論」を振りかざし、円高を招き、マネーの動きを阻害し、株安をつくり、失業や倒産を生み出している。年間三万人を超える自殺者も金融

    浜田宏一『アメリカは日本経済の復活を知っている』
  • ジョン・クイギン(山形浩生訳)『ゾンビ経済学』

    リーマンショックにより従来の経済政策や経済学会で主流を占めていた5つの経済思想がまったくダメだということが証明され、死亡宣告が出されたのにもかかわらず、やつらはゾンビのようによみがえってきた、というのが書の大枠である。その5つのゾンビ的経済思想とは、1.大中庸時代(1985年に始まる時期は、前代未聞のマクロ経済安定の時期だという発想)、2.効率的市場仮説、3.動学的確率的一般均衡、4.トリクルダウン仮説(金持ちにとって有益な政策は、最終的には万人の役に立つ)、5.民営化(いま政府が行っているあらゆる機能は、民間企業のほうがうまくこなすという発想)である。これら5つの経済思想は、ひとまとめに「市場自由主義」と書ではくくられている。 書はこれら5つの経済思想=市場自由主義に対して、リーマンショックの教訓から混合経済の仕組みを主張している。それは人々が直面する社会的なリスクを福祉国家が適切

    ジョン・クイギン(山形浩生訳)『ゾンビ経済学』
  • スティーブン・D・ウィリアムソン『マクロ経済学』Ⅱ応用編

    編集から頂戴しました。「新マネタリズム」を標榜する著者の現代マクロ経済学の最先端の教科書です。レベル的には付録の数式を考えると、いまの日では学部上級のものでしょう。実は僕は務校のやる気のある面々が集合した国際金融論の講義にこれを利用しています。書では「国際経済」に該当する部分を利用して、あとは時論で国際金融面の最新の動きを補う、そうするといいバランスの半期の講義ができそうです。ただかなり学部生の予習が必要ですが 笑)。 Ⅰ巻は基礎編で、しかも東日大震災に援用できる話題、また財政政策を「恒久」的なものにするときの「省庁」設置を利用したものなど、実践的なアイディアが豊富でした。 この応用編は、まず個人的に楽しめたのは、景気変動の市場均衡モデルと新ケインジアンモデルの長所と短所を比べた章、それと国際マクロ経済学を扱った部分ですね。 また最適金融政策としてのフリードマンルールの扱いも非常に

    スティーブン・D・ウィリアムソン『マクロ経済学』Ⅱ応用編
  • ディヴィド・オレル(望月衛訳)『経済学とおともだちになろう』

    経済学をかなりシニカルにそして相対的にみているオレルの構想した経済思想史です。古代社会から現代まで、いまの正統派経済学書では新古典派的な流れ)もひとつの経済観としてみなし、学派の競合を綺麗に整理して、代替的な学説もかなり万遍なくフォローしています。そもそもアダム・スミス以前の「経済学」はかなり多層的であり、潤沢な知性の宝庫なのです。書もスミス登場までなんと紙数の三分の一近くを割いているところが新しく、またさきほど指摘したオレルの相対主義的な姿勢が鮮明といえるでしょう。 取り上げられている経済事件や経済思想家(経済学者とは括れません)はぼくからみるとなかなか凝った選択だといえるでしょう。もちろんこれ一冊で経済学のすべてはわかりませんが、楽しい副読としては手元においておき、暇な時間に読まれることをすすめます。しかしコペルニクスの経済観が出たときはやられた、と思いました(笑。 経済学とお

    ディヴィド・オレル(望月衛訳)『経済学とおともだちになろう』
  • 韓国経済のメモ(成長、貿易関連)

    昨日の阿佐ヶ谷トークイベント用のメモの一部 昨日のトークイベントでも冒頭で話題になったが、、愛国系の議論では、韓国の経済が明日にでも崩壊する(by古谷ツネヒラさんの紹介より)という発言が多い。しかし、そういう危機予言はさておき、もう少し冷静に韓国経済のデータや実体をみてみたい。こと金融面については、やれるだけの政策をちゃんとやっているという事実があるんじゃないかと私見では思っている。 リーマンショック以降もどう割り引いてみても経済は急回復している。キャピタルフライト的状況を懸念すれば、通貨スワップの拡充に邁進しているし、インフレ懸念にも対処するなど、政策の割り当てとそのスピードも適切に思える。具体的に経済のパフォーマンスはよく、この30年の平均成長率は7%近い(マイナス成長は80、98年)。 韓国の実質経済成長率は70年〜80年は平均9%、80〜90年は9.7%、70年代から2010年まで

    韓国経済のメモ(成長、貿易関連)
  • 政治的な意図丸出し 中国人民銀行の日本銀行追加緩和への批判

    中国人民銀、日銀の追加緩和にいら立ち 過度の資流入懸念(日経済新聞) http://t.co/2BUxPoP9 中国人民銀行(中国の中央銀行)がそのホームページに、19日の日銀行の追加緩和をうけてとしか思えない講演録を同日の夜にいきなりアップした。先進国の金融緩和が、同国への過大な資流入や経済の不安定を招くとした内容である。 これがその講演録 中国人民銀行のこの批判は政治的な意図が露骨に表れている。通常、他の国が金融政策でなにをやろうとわれ関せずが基。なぜなら多くの国は、自国の物価の安定、経済成長(もしくは雇用)の状況、金融システムなど、国内の経済状況をもとに、自律的に金融政策を行うのが基だからだ。 仮に、他の特定の国の金融政策の変化で、自国に過大な影響が及ぼすことがあったとするならば、まずは自国の経済政策で対応するのが基。もし過大な資流入(元高円安)が問題であれば、中国

    政治的な意図丸出し 中国人民銀行の日本銀行追加緩和への批判
  • 福島県の経済メモ

    福島県の経済についてデータの出所と簡単なコメント(Twitterでつぶやいたもの) 福島経済をみると公共事業のすごさと同時にダメさの両方のサンプルとして重要かもね。あまりにも一時的刺激すぎる。 福島県経済の統計をみると典型的な公共事業投資だけある時は経済は盛り上がるが終われば急速に元の厳しい状況に戻る、という展開になっていそう。鉱工業生産指数の動きの鈍さ、県内消費者物価指数の動きなどに注意。 参照資料 http://t.co/2y9qPMLj 福島の雇用関係みても典型的な一時的な公共事業依存の帰結が観測できる。一時的に急増加している震災関連の求人などがけん引しているのは確か。他方で、製造業やサービス産業は雇用環境が伸び悩み&急速に悪化している。雇用は経済実態を遅れて反映しているのでたぶん現状はもっと回復のペースが鈍化か。 福島労働局の雇用統計。http://t.co/wAIXKDWX 福島

    福島県の経済メモ
  • 若田部昌澄『もうダマされないための経済学講義』

    先に出版されてヒットした『当の経済の話をしよう』(栗原裕一郎氏との共著)が時論を中心とする応用編だとすれば、書は経済学への入門と兼ねる原論的な位置づけにあるといえる。 経済学を4つの主要概念ーインセンティブ、トレード・オフ、トレード(貿易、交換)、マネーから、最新の経済学の成果を巧みに取り入れて、初心者に心地よい知的刺激を与えながら語っていく手法は、相変わらず見事である。 インセンティブは「やりたいという気持ちを引き出すもの」。人間は誰でもやりたいことをやる。これは当たり前です。けれどもそこに一定の「制約」がある、というのがトレード・オフの問題です。資源が「制約」されている、予算が「制約」されている、あるいは時間は「制約」されているといったことが、トレード・オフのもとになります。 経済学はインセンティブの学問であり、その延長でトレード・オフの問題も派生してくる。他方でトレードもまた重要

  • 日本は「延命」重視:森剛志&後藤励『日本のお医者さん研究』

    ちょっと前に頂戴しました。ありがとうございます。このは日ではあまりない病院、お医者さんの行動を扱った非常に重要な研究です。 内容は豊富なのですが、ここでは「命の価値」に関わる部分を紹介します。 書は、日のお医者さんに医療費の配分についてのアンケート調査を実施しています。命を救える新治療方法が利用できるが、予算が限られいて全員の患者さんにその治療をうけさすことはできない。この治療を受けなければ余命3か月。この医療費配分をどのような要因を重視して決めるかというものです。 各項目を非常に重要、重要、それほど重要ではない、全く重要ではないとウェイトづけをしてもらい、1)健康な生活習慣、2)所得階層、3)年齢、4)治療後の平均余命、5)治療後の健康状態(Quality of Life=QOL)、6)いままでの治療歴 についてお医者さんたちに判断を聞いています。 海外でも同じ調査が行われていて

    日本は「延命」重視:森剛志&後藤励『日本のお医者さん研究』
  • 飯田泰之&雨宮処凛『脱貧困の経済学』(ちくま文庫)

    ちくま文庫の仲間入りでまずはおめでたいことです。といってもまだ発売前なので手にしてません(笑)。以前の単行のときはろくなコメントをしてないことに気が付き、当時よりもいま現在の方が、より重要な著作だと思いここでご紹介。なぜ重要かというと、一部の心無い(当に空っぽだと思うが)人たちの生活保護バッシングをみるにつけ、日貧困問題へのいわれなき罵倒が目立つからだ。 さて書は09年9月に初版だから、世界経済危機後一年後に出ていて、ちょうどいまから三年前だ。最初に言い切りたいが、僕が読んできた対談の中でも屈指の出来だと思う。 飯田泰之さんは経済学者で、雨宮処凛さんは作家で社会運動家的な側面が強い。雨宮さんは当時、プレカリアート運動でも著名だった。なんとなく水と油的なイメージがあるが、書の対談はかなりかみ合ってて面白い。ただだいぶ編集の手が入っている印象もある。なぜなら同時期に、雨宮さんが佐

    飯田泰之&雨宮処凛『脱貧困の経済学』(ちくま文庫)
  • 日本を滅ぼすには日本銀行と財務省の超デフレを実現する政策協調が必要

    題名はもちろん皮肉だけど。 さてちまたでは英国の経済雑誌『エコノミスト』が2050年の世界を予測したが評判だ。日目線でいうと、だいたいいま現在、世界経済の10分の一ほどの規模の経済が見る影もなく沈没して、ごく平凡な国に「衰退」することが予測されている。 ではさらにすすんで、日銀行と財務省がひょっとしたらいままでと同じように、いやさらに協調して日を衰退以上の状態、すなわち日を滅ぼすにはどうすればいいのか。『エコノミスト』などを参考に試算してみよう。 例えば、ゼロパーセント成長が38年間も続くとした場合の一人当たりの名目GDPは63175ドル。38年の長さもありえないとはいえない。だってすでに22年くらい平均して名目成長率ゼロパーセントが続いているのだからそんなに到達不可能な期間でもない。 ただし人口が減った分(2050年にはだいたい9500万人)いまより一人当たりのGDPはやや上回

    日本を滅ぼすには日本銀行と財務省の超デフレを実現する政策協調が必要