恐ろしい本である。不治の病や、慢性の持病を抱えてる人は読まない方がよいかも知れない。それを始めに警告しておく。 さて本書はいわゆる通常医学でない代替医療が「ほんとうに効くのか?」を科学的に追求した内容だ。俎上に挙げられるのは主に鍼、ホメオパシー、カイロプラクティック、ハーブ療法で、それらの歴史から現在の実験結果を紹介している。 結論から言えば、(一部例外はあるものの)ほとんどすべての代替医療には科学的見地に基づいた効果はないと断じている。あるとすればそれはすべてプラセボ効果だと言うのだ。 そして仮に代替医療が無害であったとしても、それらによって通常医療を受ける機会が減じる可能性がある、と糾弾している。その説得として瀉血の話を持ち出し、エビデンスのない医療がいかに危険であり、二重盲検に基づいた実験の統計がいかに大切かを説明してみせるのは、半ば脅しもはいりつつも、巧い。 また、あくまでその医療
![サイモン・シン、エツァート・エルンスト「代替医療のトリック」 - モナドの方へ](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/f3dbc654d615800267e2a44d9f735e260c24eb3a/height=288;version=1;width=512/http%3A%2F%2Fecx.images-amazon.com%2Fimages%2FI%2F41A2ccwpFsL.jpg)