東京電力福島第1原発事故の問題は、事故収束、放射性物質による汚染、健康被害、損害賠償、エネルギー政策など多岐にわたる。これらを考えるうえで改めて注視すべきは、福島原発を含めた日本の原発政策の来歴だ。ジャーナリストで評論家の武田徹さんと社会学者の開沼博さんが論じ合う。【立会人・岸俊光編集委員、写真・武市公孝】 ◆対立越えリスクを減らせ--ジャーナリスト・武田徹氏 ◆地方の苦境知ることから--社会学者・開沼博氏 ◇事故前後の状況 立会人 お二人は福島原発事故の前から原子力・核の問題を研究されていました。事故の印象はどうでしたか。 武田 東日本大震災が起きる26分前に出張のために成田空港をたっていたので、海外で事故の報を聞きました。こんな事故が起きてほしくないという気持ちから02年に「『核』論」(「私たちはこうして『原発大国』を選んだ」に改題)を出版したつもりだったのに、その期待が裏切られたのは