総選挙を目前にして、改めてこの社会を見渡し、人々の声に耳を澄ませるならば、そこに見えてくる光景、聞こえてくる声はいかなるものだろうか。ひとことでまとめれば、見えるのは亀裂や機能不全、聞こえるのはきしみや悲鳴である。 私自身が研究対象としてきた教育、仕事、家族について述べると、まず教育では、教員の働き方が過重で長時間になっているため、なり手が不足する事態が悪化している。その背景には、学習指導要領や評価方法の負担の重さ、1学級当たりの児童生徒数の多さがある。 余裕がなく締め付けの強い学校の状況は児童生徒にも影響し、少子化が進んでいるのに不登校や自殺は急増している。外国ルーツの子どもは増えているが、対応は極めて不十分である。 学校ではきめ細かい指導が難しいことへの対処として、経済的に余裕のある保護者は学校外教育に出費することで、子どもを成功のルートに押し込もうとする。一方、それが難しい家庭の子ど