心理療法の過程で生じる「転移」について、自らの臨床経験を通して深められた考察から転移の本質、ひいては心理治療の本質に迫る力作。著者は転移現象を、単に「両親に対する人間関係の再現」とみなすことの限界を指摘し、転移を真に理解するには、フロイトの「死の欲動」論を再検討する必要性を明らかにする。初版刊行日:2001年3月20日 序章 発話者としての〈私〉 第Ⅰ部 理論研究 1 フロイトの転移論 2 クラインの転移論 3 ウィニコットの転移論 4 ユングの転移論 5 ラカンの転移論 6 転移:心理治療関係における〈相互性〉と〈非対称性〉 第Ⅱ部 心理治療 7 〈私〉の生成の場としての転移――自閉症児の心理治療 8 発話者としての〈私〉の生成と転移――言語発達障害児の心理治療 9 子どもの言葉に現れた母親の無意識――来所しない不登校児の母親面接による心理治療 10 転移と「死の欲動」――心理治療の転回