バートランド・ラッセル 結婚論 第12章 (松下 訳)- Marriage and Morals, 1929, by Bertrand Russell 私自身は,現状を満足すべきものと見ているとは言えない。現状には,因習的な道徳家(モラリスト)によって押しつけられた望ましくない特徴がいくつかあり,また,因習的な道徳が変わるまでの間は,そういった望ましくない特徴がどのようにして消えていくのか,私にはわからない。密かにされる(隠される)性は,もっとはっきり言えば(注:in fact は,前の文章を受けている。),密造・密売された酒と同様,本来のもの(what it might be)よりも,劣っている。裕福なアメリカにおいては,禁酒法を導入する前よりも,若い男性の間に非常に酒に酔う者が増えているし,若い女性の間ではなおいっそう増えていることは,誰も否定できないと思われる。法律の裏をかくこと(注