暇。いい響きだと思う。声に出してみる。ヒマ。とても良い。「ヒ」の音でちょっと勢いづいた感じがするも、マ行の発音をするためには一度唇を閉じなければいけないこの感じが、いかにも暇という言葉の甘美な後ろめたさを表しているように思う。 これがもしも「ヒマ」ではなくて「ヒカ」とかだったら、あまりに印象がシャープにすぎる。暇にかまけてよしなし事をそこはかとなく書きつくるようなことは許されないような、そんな感じがする。逆に「ニマ」くらいまでいってしまうと、今度はほげほげとしすぎていて、なんとなく忙しい世間から取り残されるような後ろめたさが感じとれないではないか。 この、シャープなわけでもなければ、ほげほげとし過ぎているわけではない、そんな捉えどころのない「暇」というものについて、少し考えてみたい。 ぼくが「暇」について考えるときにいつも頭に浮かぶのは、スチャダラパーの「暇の過ごし方」という曲だ。これは