北海道東部に位置する知床半島は千島につながり、千島列島はカムチャツカ半島を経てアリューシャンへと続く。アリューシャン列島にはアラスカ半島のコディアック島付近までヒグマが生息している。そこから西のカムチャツカまでヒグマはいない。 知床にはたくさんのヒグマがいる。カヤックで半島を一周すると20頭近くのヒグマを見る。32頭を数えたこともある。正確な数はわからないが、面積あたりのクマ密度はおそらく世界でもっとも高いだろう。しかし昔からそうだったわけではない。20数年前、半島でヒグマを見ることはまれだった。しかし10年ほど前から急に目撃回数が増えた。 北海道では1990年までハンターによる春グマ駆除が行われ、役所はそれに補助金を出してきた。明治期、開拓の障害となるヒグマやオオカミは有害獣として狩られた。オオカミは早い時期に絶滅したが、ヒグマは滅びなかった。駆除の中止は結果的にヒグマを増やした。知床で