高橋洋 (都留文科大学文学部社会学科教授) 政府のエネルギーミックスを巡る議論が大詰めを迎えている。既に経済産業省の原案は提示されており、2030年時点の原発依存度、すなわち、発電電力量に占める原子力の電源構成は、20~22%を目標とするという。これが実現されれば、原子力事業は復活したと言えるだろう。 2011年の福島第一原発事故以降、日本では原子力を巡る「二項対立」が続き、現在でも決着がついていない。日本に原子力は必要なのか、必要ないのか? 興味深いのは、この4年間で原子力推進論者による正当化の理屈が変遷してきた点である。本稿では、原子力を正当化する理屈はどのようなものか、考えてみたい。 1.原子力推進論者による四つの理屈 2011年の事故直後の理屈は、電力の需給逼迫(ひっぱく)だった。絶対的に供給力が足りないから、停電を回避し、現代の経済社会を維持するには、原子力を動かすしか選択肢がな
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