この度の日本学術会議の会員交代において、学術会議が推薦した候補105名のうち、6名が菅総理大臣により任命されなかった。これは1983年に公選制から任命制になって初めての異例な事態である。6名に共通することは、安倍内閣として進めようとしていた組織犯罪処罰法や平和安全法制、特定秘密保護法など、国の重要政策に反対の意思表示を行なったことだ。任命拒否の背景が透けて見える。 1983年に会員の公選制から任命制に変更した際は、私も衆議院文教委員として審議に携わり、委員会での強行採決にも出くわした。変更の理由は「選挙に出る科学者が減少した」とか「選挙において不適切な行為が見られた」と記憶している。当時答弁に立った丹羽兵助・総理府総務長官や高岡完治・内閣官房参事官も、「学会の方から推薦していただいた者は拒否しない」「推薦者は拒否しない形だけの推薦制」「形式的な任命制」と口を揃えていたことを覚えている。この