中世ヨーロッパでは七世紀末頃からカロリング朝フランク王国の支援を背景としてゲルマン人へのキリスト教布教が進んだが、改宗してもキリスト教化は徹底されず、多神教や自然崇拝による異教的伝統文化も色濃く残ることとなった。 その異教的な伝統がどのようなものであったかは、教会側の史料に概ね禁令として多く残されている。1020年頃ヴォルムスの司教ブルカルドゥスによって書かれた『教令集』の中の贖罪規定にある異教的慣習、迷信、魔術に関する記述を野口洋二著『中世ヨーロッパの異教・迷信・魔術』(早稲田大学出版部,2016年)を参照して簡単にまとめ。なお、一般的な魔女に関わる例はここでは割愛した。 異教的な信仰・習慣・天、地、太陽、月にかけて誓う ・諸元素、太陽、月、新月や月食、星の動きを崇拝 ・泉、石、樹木や十字路に行き、ロウソクや松明を燃やしてパンやその他供物を捧げて、そこで食べたり、身体や心の治癒を祈る ・