リーダーのあり方について持論を語る筆者の桃野泰徳氏 私には、昔からどうにも強い違和感があり、今でも疑問に思っている“名言”がある。 「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」 という、ドイツ・ビスマルク首相の言葉とされているものだ。 ドイツ統一を成し遂げた、19世紀を代表する現実主義的な政治家の遺訓として知られる。 一般にこの言葉は、 「愚か者は自分自身で痛い目にあわないと理解できないが、賢者は歴史から学び理解する」 というような文脈で使われる事が多い。 しかし冷静に考えて、そんな賢者などいるわけないだろう。 むしろ自己啓発本や、「偉い人」の本を少し読んだだけでわかったような気になる者こそ愚か者というのが、世間の相場である。 本当に、ビスマルクのような実績ある政治家がこんな嘘くさい教訓を残しているのだろうか。 「次の仕事は決まってるんか?」 話は変わるが、かつて私が地方のメーカーで経営の立て直