夏の風物詩ホタルを大宮に-。戦前に関東随一のホタルの名所として知られた大宮にかつての風景を取り戻そうと、武蔵一宮氷川神社(さいたま市大宮区)と市民団体「氷川ほたるの杜(もり)」が取り組んでいる。発起人として団体の会長も務める同神社の東角井(ひがしつのい)真臣権宮司(38)は「ホタルを復活させて多くの人に喜んでもらいたい」と話している。 (牧野新) 県立歴史と民俗の博物館によると、昭和初期まで大宮公園の前身である氷川公園で、ホタル見物が盛んに行われていたという。園内の料亭には、夏目漱石や正岡子規なども足を運んだ。 小説家田山花袋(たやまかたい)は大宮のホタルについて「光の大きく鮮(あざや)かなので知られていた(東京の近郊)」と記している。だが戦後の宅地開発などによる環境汚染で大宮から姿を消し、市民にも次第に忘れられていった。