朝ドラ『らんまん』(NHK総合)における田邊彰久とは一体何だったのか。 田邊教授(要潤)の登場時、彼がここまで人間の持つさまざまな面を体現し、主人公と複雑な関係を築くキャラクターになるとは思ってもいなかった。せいぜい、小学校中退ながら流暢に英語を操り、フィールドワークで得た植物の知識を有する万太郎(神木隆之介)のことを面白がって東大植物学教室への出入りを許し、のちに万太郎にとって大きな障害となる人物……程度としか認識できていなかったからである。 だが、そんな予想を大きく裏切り、田邊は本作中盤において、単純な悪役でも、主役を導く師でもなく、槙野万太郎と対をなす第二の主人公として物語に存在した。 日本で最初に米国・コーネル大学で植物学を学び、国内における植物学の始祖となった田邊教授。女子教育の必要性を訴え、クラシック音楽とシェイクスピアを愛し、文部大臣の覚えもめでたい超エリート。本来であれば他
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