殴る蹴る。金を巻き上げる――。古参隊員の”新兵”イジメは連日のように行なわれ、上官たちは見て見ぬふり。法廷で暴かれたのは、密室化した自衛隊内の無法ぶりだった。 海上自衛隊横須賀基地に所属する護衛艦「たちかぜ」(艦長・落修司1佐=当時・現在は廃艦)の新人乗組員だったAさん(享年二一)が自殺した事件をめぐり遺族が起こした国賠訴訟で、横浜地裁(水野邦夫裁判長)は一月二六日、「自殺は先輩隊員S2曹(懲戒免職)の暴力・恐喝と、上司の安全配慮義務違反が原因」(趣旨)として、四四〇万円の賠償を国とS元2曹に命じる判決を言い渡した。 「いじめについては、こちらの主張が九分九厘認められた」 弁護団(岡田尚団長)は、事実認定に限ってのみ判決を評価する。判決が認めた事実はおよそ次のとおりである。 〈S2曹は「たちかぜ」在籍七年で艦の「主」的存在だった。逆らえない空気ができていった。S2曹は後輩が仕事でミスをした
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