第33回 朝令暮改は悪いこと? トライアンツコンサルティング 野村隆 2008/1/23 ■虚懐転化という考え方 この疑問への回答のヒントとして、連載第10回「正しいことをし、行動力を発揮するココロ」でも紹介した安岡正篤氏の著書『佐藤一斎「重職心得箇条」を読む』(致知出版社刊)から以下を引用させてください。「重職心得箇条」の一部です。 十二 大臣たるもの胸中に定見ありて、見込たる事を貫き通すべき元より也。然れども又虚懐公平にして人言を採り、沛然と一時に転化すべき事もあり。此虚懐転化なきは我意の弊を免れがたし。能々視察あるべし。 (口語訳)大臣たるもの胸中に一つの定まった意見を持ち、一度こうだと決心した事を貫き通すべきであるのは当然である。しかしながら心に先入主、偏見をもたないで公平に人の意見を受け入れ、さっとすばやく一転変化しなければならない事もある。この心を虚しうして意見を聞き一転変化す