3−5月の混乱期に苦しみながらも学んだことも多かったので、6−8月は臨床での対応は(余計な苦労はまだ続いていたとしても)改善された、というか空気もだいぶ変わった。 8月末の安倍総理の会見の中にもあったように、すでに「未知のウイルス」でもないSARS-CoV-2は、「指定感染症/実際のところを1−2類"的な"対応」から、通常のカテゴリーの中に位置付けたりそこでの対応をどうするかという検討のフェーズに入っている。
「日本の基幹病院をコロナから守るために必要な軸」シリーズは、一応区切りと致します。 区切りに際して、今日(4月10日現在)の現場の声・実態を記しておきたいと思います。編集長には悲痛とも諦めとも思える声です。
昨年のエボラ騒動のときから、エボラは日本に入ってくると思うか? と何度も質問を受けました。 入ってきてもおかしくはないけど、出国時検疫含めた外国に入らないための対策をギリギリまでやってるので、直行便もない日本にはいる確率的にはゼロに近く、入ってくるならMERSでしょ、と話してたときはMERSはスルーされていました。 今週はMERSのといあわせばかりです。 MERSはどんな病気か感染経路から語ってくれ、という記者には、まずは"ずいぶん前から"公開されている厚生労働省のQ&Aを読んで、さらに質問があったら連絡ください、と伝えてあります。 なんとか語らせたい内容は、韓国の関係者に落ち度があった、医療機関が失敗をした、日本でも起きかねない、厚労省の対応が十分でない、などの批判記事で、個人や社会を守る視点ではないことが残念です。 2012年からのとりくみをまずざっとレビューするところから始めればいい
誰かテンパっている人がいるのかもしれません。 厚労省が落ち着け、といっているそうです(誰に?)。 夜中の記者会見とかまだ記憶に新しいです・・・。 誰が何を具体的にすべきかわからない案件について断片的事実だけ仰々しく発表されても不安層を刺激して現場の負担を増やすだけ・・・な4類感染症。 と、てんぱっている人をみかけたらささやいてください・・。 〇〇地域の〇〇才の人は〇〇のときに〇〇してください(しないでください)と具体的な助言とセットでないと恐怖をあおるだけになることがあります。 対処できる具体的な不安と、何をしていいかわからない漠然とした不安では見通しや心的負荷も異なります。 日経新聞 厚労省「冷静に対応を」 デング熱、国内感染69年ぶり確認 どんな症状?は、Q&Aや教科書を見ても羅列だと時間軸や体感することが難しいので患者さんの語りなども参考に。 「患者さんの語りから学ぶデング熱」 それ
NEJMの最新号からのコメント。「ボストンの不幸中の幸い」 •爆発が起きた時に、既に多数の救急隊員や警備員・警察官がマラソンの為に待機していた。 •マラソンの日≒マサチューセッツ州の休日だった。このため病院が混雑してなかった。 •爆発が午後3時という病院の勤務交代の直前の時間に起こったので帰るチームとこれから働くチームの両者が病院に居た。 • ボストンという街自身が7ヶもの外傷治療センター、多数の世界のトップクラスの病院を持ち、更に救急隊員が賢明な布陣・分布体制をとっていたので必要なマンパワーがすぐに得られた。 • 爆弾の性能が悪かった & 建物の外で起きたので爆発の圧力が拡散された。(戸内であったらもっと惨状に・・)更に周辺の建物が崩壊せず救出しやすかった。 •外傷治療専門家の世界では、イラクやアフガニスタンで経験を積んだ軍の外科医や救急医が次第に全米各地に知識を広めていた。 ・またボス
「確証バイアス」は、自分の都合の良い事実しか見ない信じないという認知のゆがみのひとつで、日常生活の中で誰もがもっていることです。 なので、何か決定をしなくてはいけないとか、それが生命や将来に影響を与えることだったり、他人に意見するようなときには、このバイアスの影響を受けた思考プロセスをしてないかなーとふりかえったり、苦言も惜しまずしてくれる友人などに、あえて別の見方を提示してもらって「ふむふむ、そういう見方もたしかにあるよね」的な時間をもったほうがいいわけです。 ある価値観やストーリーにはまったひとたちの言動は、冷静な第三者から見ると、「あら!」「あらー!」「どっひゃあ」的なものになっていることがあります。当の本人はストーリーのまっただ中にあるので、「おかしいよ」「違う情報は無視するの?」という周囲の苦言に耳を貸せません 耳を貸さない、が一般的な表現ではありますが、貸せない、貸すことができ
自分や自分の子ども、家族が体調を崩し、入院しなくてはならない、あるいは外来受診をしなくてはならない・・・となったときに、病院は手当や治療をしてくれる「期待の場所」になるでしょう。 しかし、様々な医療行為が行われる場所は、まち中や家庭とはちがう別のリスクが存在します。そのひとつは院内感染です。 感染・発症・重症化には複数の因子がからんでいるために、100%それを防ぐことは難しいですが、ある程度コントロールできるものと、毎年のインフルエンザシーズンでの集団感染事例などにみられるように、感染対策が難しいものがあります。 専門家や関係者は、「予防できるものは予防したい」。切にそう願っているわけです。 予防接種などはその最たるものです。 「うちの子は麻疹になったけど、特に何もしなかったけど元気になったよ」 それは元気になった子の親だから言えること。 「今の高齢者は栄養不足、医療のない時代にも麻疹や水
お寺には歴史資料があって、感染症疫学の勉強にもなるという話。 亡くなった人の原因が記録されている台帳(過去帳)があるそうです。 例えば、麻疹が大流行したことが有名な1862年(文久2年)、江戸だけで約76000人が死亡したそうですが(江戸洛中麻疹疫病死亡人調書)、 しかし、これをお寺のデータでみると、実際は24万人規模なのだそうで。(『病が語る日本史』 (講談社学術文庫) この年はコレラも大流行し、73000人近くが死亡。 ひー。怖い。今はワクチンがあってヨカッタ。 でも、2011年には各国で麻疹が再び増加に転じていて、日本でも2012年1月から報告が増えています。 余談ですが、、2011年10月のヨーロッパの麻疹レポートでは、30000例を超える症例報告、SSPEで2例死亡、その他にも23例が脳炎になり、このうち8例死亡 ということです。 麻疹は江戸時代だけで13回も大流行したそうです(
集団生活ではもともと感染症は広がりやすいことがわかっています。 シーズン中は特にこれといったリスクがない人でも感染することのあるインフルエンザですが、免疫が低下しているような人たちがたくさん集まる施設ではどのようなことに注意をすればよいか(現実としてできる対応の線引きはどこか)考えてみたいと思います。 2011年12月に出た、カリフォルニア州の長期療養施設のためのインフルエンザ対策の資料をみてみましょう。 ----------------------------------------- 潜伏期間は1-4日(平均2日)。 最も人に感染させやすいのは症状が出て最初の3日。 しかしウイルスそのものは症状がではじめてから7日以上たっても気道に存在します。 こどもや免疫が低下している人ではこの期間が長引きます。 つまり、インフルエンザは無症状の人からも感染します。 高齢者の特徴として、もともと健康
リスクコミュニケーション(リスコミ)を最初に学んだときに、講師から「コミュニケーション論」になりやすいから、現場の実務者は注意しなさい、といわれました。 (論じることが主目的の人はまた別) (リスクの管理やコミュニケーションは分野によって少しずつ広義・狭義の概念や定義が違うので別途詳しい資料をご参照ください。ここでは健康問題で扱う場合、の話です) 論じることが楽しくなったり目的化するとずれるよ、という意味です。 目的は別のところにある。 だいぶ前の話ですが、勉強をはじめた当初の研修会講師はCDCの人でしたので、感染症含めた健康問題関連でした。 日本と同様に、感染症全般というよりは、食品安全の人たちの意識や経験知が高いことがよくわかりました(つぎ込まれているお金の額も違う)。 このあたりはソーシャルマーケティングなどとかぶる面も多いので楽しみながら学んでいました。 次にたまたまリスコミについ
今朝のフジテレビとくダネ!で、福島第一原発の中に入って所長や職員、原発の様子を視察してきた青山敏晴さんが状況を映像とともに解説していました。 経歴は共同通信→三菱総研→独立。 経済産業省の総合資源エネルギー調査会専門委員を無給で務め、内閣府の原子力委員会原子力防護(核セキュリティの専門部会専門委員もされているそうです。 視察の内容についてはBlog「出会いに感謝☆」で詳しく紹介されています。 暑い季節になったら防護服での活動は今以上にきつそうです。 事件は会議室ではなく現場でおきているわけですが、大手メディアは社員について●Km圏内立ち入り禁止ということになっているそうで、周辺状況含めて情報が不足してたのは事実です。 今回の報告で「そうなんだ」と思ったのは、「一般市民やジャーナリストは無理だけど、専門家は手続きをすれば入れる」ということです(落ち着いたので)。 しかし「今まで専門家から中を
Katherine Uraneck先生はもともとERで働いていたそうです(その16年の間、放射線関連についてはあまり知らなかった。 まずKaram先生は放射線と安全性の基礎について話をされ、それを理解した時点で、Uraneck先生が ヒトの健康への影響の考え方についてお話をされました。 重要なポイントとして小児は成人よりリスクが高い、ということが最初に指摘されました。 健康に対する影響は ―確定的(急性的影響) ―確率的(慢性的あるいは長期的影響) にわけて考えます。 確定的な影響(急性的影響) これは線量に直線的に相関し、症状があらわれるのも数日から数ヶ月のスパン。 しきい値が重要。早期の影響は100から150mSvから 例として、脱毛、皮膚障害、精子数の減少。 ロンドンでの polonium-210による急性症状の脱毛 Alexander Litvinenkoの事例 現時点で、福島第一
「現場の邪魔になる各種馬鹿」にならないよう、 災害医療や災害看護というのは、そのスペシャリストをめざす人だけでなく、コモンな訓練として養成課程のなかに必要なのだろうと思う話。MRICから。 新聞はかなりharmですね。 つかえたはずの支援がいくつか使われずにおわっていることも重たい現実。 このあとの長期戦のためには行政(県/市)の支援が課題になってきます。 病院だけでは限界がきます。 ------------- 後方搬送は負け戦の撤退作戦に似ている:混乱するのが当たり前 亀田総合病院 小松秀樹 2011年3月26日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 http://medg.jp --------------------------------------------------------------------- 東北・関東大震災で、2件の後方搬送に関わった。この経験から、後方
某日、某TV番組の収録を手伝いにいってきました。 その中で、日本の若年層における性感染症の現状を示すフリップが準備されていたのですが、最初に気づいたことは「疾患名が書いていない」です。 -(・_・?) あの~これは何の数字なんでしょう? 「4つの性感染症を足したものです!」 -ということは、クラミジア・淋菌・ヘルペス・コンジローマの4つの定点疾患ですね? 「そうです」 ※注1:「定点医療機関の選定」はずっと課題があり、行政が頼みやすいところ、医師会にまるなげして決められたたところに必ずしもハイリスク層が受診しないので地域によってはトレンドをみれていないところがあります。 ※注2:産婦人科(“オンナ定点”)・泌尿器科(“オトコ定点”)・皮膚科のバランスも地域によって異なります。 -(そもそもトレンドを見るための仕組みなので)足してしまっていいのかと・・・ 「ちゃんと厚生労働省に電話をしました
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