朝日新聞が8月5日付朝刊で、過去の慰安婦問題報道についての一部「誤報」を認めたが、そうした中で「そもそも強制連行の証言者はいなかった」と語るのは、慰安婦報道真っ盛りの1990年代に朝日新聞のソウル特派員だった、ジャーナリストの前川惠司氏だ。新刊『朝日新聞元ソウル特派員が見た「慰安婦虚報」の真実』(小学館)を上梓したばかりの前川氏が、「当事者」として初めての告発をする。 * * * 私は、ソウルで伝手を総動員して、60歳を超えた人たちに、「身近な人で慰安婦にされた人はいるか。当時住んでいた村とか町で、日本兵や日本の警察官に無理やり連れて行かれた娘がいたか。そんな噂を聞いたことがあるか」と、尋ね回った。訪ねて行った先は、友人のお母さんから新聞社幹部、元軍人、大学教授など様々で相当の人数になったが、私の質問にうなずいた人はいなかった。ある人はこう言った。 「無理やり娘を日本人がさらったりしたら、