巣立って間もない野鳥を人が誤って“さらう”事例が、相次いでいる。飛ぶ練習中に地面に降りたメジロやスズメ、ヒヨドリの子どもを、けがや迷子と勘違いしてしまうのだ。こうした「誤認保護」は県内で年100羽を超える。専門家は「身近な鳥の生態をよく学び、共存できるように」と呼び掛けている。 「チィーチィー」。まだ産毛がふわふわしている子メジロが、澄んだ声で餌を欲しがる。ここは川崎市中原区にある野生動物ボランティアセンター。傷ついた鳥獣を手当てし、自然に返す活動に取り組んでいる。このメジロは7月22日、街路樹の植え込みにうずくまっているのを通行人に拾われ、持ち込まれた。ただし、けがはしていない。 「メジロは飛べないうちから巣立ちをするんです」。同センター所長の獣医師、皆川康雄さん(44)=野生動物救護獣医師協会(WRV)神奈川支部事務局長=が解説する。人間には「地面に落ちて困っている」と見えても、実