はじめに 当院では2008年10月~2009年1月までに多剤耐性Acinetobacter baumannii (MDRAB)が海外から持ち込まれた例を契機として計26名の患者におけるアウトブレイク事例を経験した。本稿では当院で経験した事例の特徴と行った感染防止対策を紹介する。 経 緯 2008年12月初め、当院救命救急センター(ER)に入院歴のある7名の患者からそれまで院内で検出されたことの無かった感受性パターンを示すA. baumannii が分離されていることが細菌検査室より感染対策室(現感染制御部)に報告された。この分離株は、当院でそれまで分離されたA. baumannii の株の中で、カルバペネム、フルオロキノロンおよびアミノグリコシドの3系統にすべて耐性を示す初めての多剤耐性株であったが、ミノサイクリン(およびコリスチン)には感受性を示した。 遡って調査を行った結果、同じ耐性パ
感染症の話トップページへ 2002年第25週号(2002年6月17日〜6月23日)掲載 ◆ 日本紅斑熱 紅斑熱群リケッチア症は広く世界に分布し、北米大陸にみられるロッキー山紅斑熱、地中海沿岸にみられる地中海紅斑熱、オーストラリアにみられるクインズランドダニチフスなどが代表的なものである。わが国でも1984 年に患者が初めて報告され、日本紅斑熱とよばれるようになった。本症は紅斑熱群リケッチアの一種 Rickettsia japonica を起因病原体とし、野山に入りマダニに刺咬されることにより感染する。 疫 学 本症はダニ媒介性疾患の一つであり、発生はダニの性質、生息域、活動などに影響を受ける。 媒介ダニは、キチマダニ(Haemaphysalis flava)、フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)、ヤマトマダニ(Ixodes ovatus)などのマダ
感染症の話トップページへ 2003年第3週号(2002年1月13日〜19日)掲載 ◆麻 疹 麻疹(measles)は感染症法に基づく4類感染症定点把握疾患であり(註:2003年11月施行の感染症法一部改正により、5類感染症定点把握疾患に変更)、その報告は全国約3,000カ所の小児科定点より毎週なされる。また、学校保健法に基づく第二種の伝染病に属し、登校基準としては、「発疹に伴う発熱が解熱した後3日を経過するまで出席停止とする」と述べられている。感染性は非常に高く、感受性のある人(免疫抗体を持たない人)が暴露を受けると90%以上が感染する。年齢では1歳にピークがあり、約半数が2歳以下である。 わが国の1歳児の麻疹ワクチン接種率は約50%と極めて低く、患者のほとんどが予防接種未接種である。また我が国では麻疹による死亡例が毎年報告されており、厚生省(現厚生労働省)の人口動態統計をみると、数千人
感染症情報センター > 予防接種 > 予防接種の話 麻 疹 【麻疹とは・麻疹ウイルスについて】 【疫 学】 【麻疹の臨床症状】 【麻疹の合併症】 【異常な経過をとる麻疹】 【麻疹の予防接種】 【有効性、副反応】 【現在および今後の問題点】 【引用文献】 【麻疹とは・麻疹ウイルスについて】 強い感染力を有する急性熱性発疹性疾患であり、ヒトを自然宿主とする。 原因ウイルスである麻疹ウイルスはParamyxovirus 科Morbillivirus 属に属し、直径100~250nmのエンベロープを有する一本鎖RNAウイルスである。リンパ節、脾臓、胸腺など全身のリンパ組織を中心に増殖し 1)、リンパ球減少、免疫抑制が認められる。1993年、麻疹のレセプターは補体調節蛋白であるCD46(membrane cofactor protein : MCP)であると同定された2)3)。CD46は赤血球を除く
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