情報の科学と技術 63 巻 8 号,310~314(2013) ― 310 ― 特集:当世“書店”気質 UDC 02:000.000:000.000 書店をめぐる現在 柴野 京子* ここ 10 年ほどの間に,日本の新刊書店数は 7 割程度まで減少した。とくに著しいのは個人経営の小規模書店の閉店だが,郊外化や都市 部への大型出店をすすめてきたチェーン書店や大書店もまた,ブックオフやアマゾンなど,既存の枠組みの外からもたらされた環境の変化 に直面している。ここではそれらの状況を概観したうえで,インターネット書店のデザインが現実の書店にもたらした影響や,バーチャル との対比で新たに発見される「リアル」書店のありようなどについて,代表的な事例を用いながら,実験的に言及していく。 キーワード:書店,出版流通,郊外化,アマゾン,リアル書店,生活空間,公共性 1.はじめに 書物のデジタル化・ネットワーク