大平氏「電卓がここまで身近になるきっかけを作ったのは、当社の『カシオミニ』でしょう。とはいえ、低価格化があまりにも進んでしまった現在の状況には、やはり違和感を覚えます。もちろん、低価格なりの品質にも疑問がありました。 そこで、カシオの電卓事業が50周年という節目を迎えるこの機会に、あらためて電卓本来の価値を考え直そうと思ったのです。それをすべきは、社名に『計算機』を背負っているカシオの使命だろうと」 S100のデザインを手がけたのは、カシオ計算機 プロダクトデザイン部の宇都宮亮氏。 宇都宮氏「電卓の機能は、20年前から基本的には変わっていません。おそらく今後も変わらないでしょう。ボールペンや時計、カメラみたいなものですね。こういった『成熟した道具』は、質感や使い心地を追求した高級品と、価格優先の普及品に分かれていくのですが、電卓にはそれがなかった。 使い心地を徹底追求したものは、当社にも『