法務省・出入国在留管理庁が、難民認定の基準となる文書を初めて策定した。難民に対する迫害の解説を追加するなど、これまでの内部資料の記述や裁判での国の主張より、保護の範囲を拡大する内容だ。欧米諸国に比べ桁違いに認定が少なく、「難民鎖国」と非難される日本の現状は、是正されるか。(共同通信編集委員=原真) ▽同性愛者を保護対象に明記 「難民該当性判断の手引」と題した文書は、A4判約30ページ。難民条約で規定されている難民の定義を具体的に説明し、難民かどうかを判断するポイントを整理した、とうたっている。 条約によれば、難民とは以下の人を指す。 ①人種 ②宗教 ③国籍 ④特定の社会的集団の構成員であること ⑤政治的意見 ―を理由に、迫害を受ける恐れがあるため、母国の外にいる人。 この条約の定義が、手引にどう記述されているかを見ていこう。 まず、「迫害の理由」④にある「特定の社会的集団」。手引には、母国
