母は植物を育てるのが好きである。 しかし、母の育てる植物は必ず一月立たぬ間に枯れるのが相場である。サボテンならほっとくだけで良いだろうと買ってきても、季節が変わる頃には緑の梅干しみたいなしょんぼりしたサボテンになってしまう。花なんてもっての他である。 そんな母がまた凝りもせずサボテンを買ってきた。今度のはまん丸な体躯に柔らかな棘が生えている、おっとりした感じのサボテンである。そして、こいつには蕾が付いていた。 これなら私でも花を咲かせられるだろう、ということのようである。 すると、サボテンは健気にも母の期待に応え、ピンク色の愛らしい花を咲かせた。母は大喜びで、サボテンにはなちゃんと名前を付けた。 はなちゃんはその後も成長し、植え替えの時期を迎えるまでに至った。母も大張り切りではなちゃんの新居を用意し、植え替えをした。 ところがはなちゃんの様子が芳しくない。聞くと、母は根付いているかと、毎晩