日本の女性たちをキャリアから遠ざける要因として、パートを含めた専業主婦に対する税や社会保障の優遇政策がよく挙げられます。『貧困専業主婦』の著者・周 燕飛さんは、これら加えて女性たちに「専業主婦コース」を選ばせてしまう「欠乏の罠」が存在すると指摘します――。 生涯で億単位の逸失所得が発生することも 一定収入以下の有配偶女性に対する税や社会保障の優遇政策は、「専業主婦」コースを選ぶ際に発生する所得減を緩和する働きがあります。このため、政府が意図しているかどうかはわかりませんが、日本の女性たちが「就業継続」コースよりも「専業主婦」コースを選ぶよう、誘導する効果があります。 身近な例に置き換えて想像してみましょう。「就業継続」コースは、多くの身体的・精神的負担が伴います。せっかく仕事に復帰しても、いつの間にか補佐的な仕事ばかりが与えられて出世コースとは縁遠くなり、キャリアの展望が見えなくなることも