さて、『Voice』誌は右か左かと問われれば私は即座に右だと答えるでしょうが、こんな論文を掲載する同誌の水準をまず疑いました。 貧困ビジネスという一言に惹かれて読んでみたのですが、冒頭から著者の認識は、私の言葉でいえば尋常ではありません。執筆者・城繁幸氏は格差にふれているのですが、格差問題が巷間論じられて久しいのに、この人物といえば、相当の程度、世間からずれていて、ほとんど浮世びたりというカンジなのではないか。 曰く、 格差といってもいろいろあり、地域格差や年金格差までさまざまあるものの、現在議論の中心となっているものは雇用における格差だ。きっかけは、秋葉原の事件によって非正規雇用の存在がクローズアップされたことだろう。 ですって。 読者の皆さんならお分かりのように、たとえば橘木俊詔、佐藤俊樹など諸氏が「格差」を問題にかかげて論じはじめたのは、いったいいつだったのでしょうか。この城という人