芸風・路線の大幅な変更というのは、タレントや役者に限ったことではなく、ミュージシャンにおいても時おり見られる話である。その場合、従来のファンをどれだけ維持する気があるのか、それを捨てて新しいパイを取りに行くのか、というのはマーケティングの事例としてなかなかに興味深い。 いちばん分かりやすい例は、長渕剛だろう。デビューしたての頃は、ヤマハのポプコン系にありがちな、ちょっと軟派なフォークミュージシャンという風だった。それが気がつけば天上天下唯我独尊な別人キャラになったときは唖然としたものだ。そこまでは極端でないにせよ、浜田省吾の微妙かつ巧妙な路線変更は見事なものだった。しかも、似たような名前のシンガーが同じ頃に同じ路線で売り出していたのだから、話は少々ややこしくなる。 1976年に『路地裏の少年』でソロデビューした際は、まだ彼の詞には70年代前半の学生運動の色が残っていた。同時期の『いちご白書

