宇宙線とは簡単に言えば、宇宙空間を光速に近いスピードで飛び回っている高エネルギーの放射線のことだが、京都大学の田中孝明助教や広島大学、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、米国 SLAC国立加速器研究所などの国際研究チームが、フェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡を用いた観測によって、宇宙線陽子が超新星残骸で生成することの決定的な証拠が見つかったと発表した。発見から100年、ついに宇宙線の源が特定されたのだ。 宇宙から地球にやってくる宇宙線(一次宇宙線)の大部分(90%)は陽子で、9%がヘリウムをはじめとする原子核、そして、残り1%が電子であるという。一次宇宙線の大部分は、銀河系内の超新星の爆発に由来するのではないかと考えられてきたが、観測的な裏付けはなかった。 最近の観測によって、宇宙線の電子成分の源が超新星残骸であるということがようやく突き止められた。地球に降り注ぐ宇宙線の大部分を占める陽子と原子核