日本と南極の中継、その橋渡しを描いたアバン。そこで起きた日向を取り巻く不穏な出来事に誰よりも敏感に視線を傾けたのは他でもない小淵沢報瀬その人でした。なにかを堪えるような日向の仕草。小さく漏れる溜息。そんな些細な変化さえ、きっと報瀬にとっては “何か” を感じ取るには不足のないものだったのでしょう。冒頭から報瀬の視線に寄せるようなレイアウトを取っていたのもそんな彼女の気づきにフォーカスを当てるためであったはずです。 しかし、そんな視線の先にあったのは今まで見たこともないような日向の姿と表情でした。「ふざけんな」と繰り返される怒号から滲み出ていたのは彼女のもう一つの側面で、これまで大人な素振りを見せてきたその姿とそれは非常に対照的なものでした。だからこそ報瀬はそこで驚きもしたし、少し怖さを感じるような感情さえあの時垣間見せていたのだと思います。フレーム内フレームで二人を区分し、影から見やる蚊帳