『星図詠のリーナ』(川口士/一迅社文庫)読了。 これは面白い。マッピングファンタジーってなんだそりゃ、と思ったら本当にその通りの話だった。主人公の王女が地図を愛しているという基本設定そのものが、外の世界への好奇心と、彼女の持つ広い視野に立ってものを見るというキャラクター設定とリンクしているところがまず上手い。マッピングという概念が単純に地図作りだけに留まらず、主人公、リーナの持っている行動理念、そして何より物語にテーマに至るまで貫かれているのだ。つまり、地図を作ると言う行為は、自分の目の前だけを見るのではなく、より俯瞰して世界を見渡すと言うことであり、そのように世界全体に向かって開かれた視野を持っているところが、リーナの魅力であり、根幹にあるのだということをきちんと表現していると言えよう。傭兵として(物語中で明かされるがそれ以外の理由もあって)刹那的な生き方をしているダールとの交流はまさに