映画の中で、傷つき、荒れた自分の足も映して見せた。「顔と同じくらい、足にはその人の人生が出ると思う」=片岡航希撮影 渋谷のシアター・イメージフォーラムで公開中の「アリラン」は、韓国の鬼才、キム・ギドクが、己と徹底的に向き合った作品。 さまざまな困難に直面して作品が撮れなくなった映画作家としての心情を赤裸々に映し出す異色作だ。 2011年5月のカンヌ国際映画祭でこの作品を発表するまでの3年間、ギドクは隠遁(いんとん)生活を送っていた。以前は年に1本のハイペースで作品を世に出していたが、08年の「悲夢」撮影中に起きたある事故を機に、山の中の簡素な一軒家にこもった。 「人は誰でもスランプに陥り、思いも寄らぬ事件に遭遇したりする。私もある出来事を経験して、その時期は映画への信念も消え、人への信頼も失い、作れない状況に苦しんでいた」とギドク。 だが、10年末から1か月かけて、この映画を撮った。きっか