半年ほど前に小生が要旨を紹介したピサ大学のLuciano Fantiの論文「経済成長、年金の賦課方式、および定年(Growth, PAYG pension systems crisis and mandatory age of retirement)」がツイッター上で少し話題になったようなので、最初に紹介した者の責任として、というわけでもないが、自分なりに簡単に内容を紹介してみる。 この論文のベースになっているのはダイアモンドのOLGモデルであるが、通常のOLGモデルでは 若年期 :働いて貯蓄する 老齢期 :貯蓄を取り崩す という世代ごとの行動が想定されている。 Fantiはそれに年金と老齢期の労働を取り込んで、次のようなモデルを提示している。 若年期 :働いて貯蓄する + 年金の掛け金を払う 老齢期 :貯蓄を取り崩す + (1−λ)期間 :働く (この時期の労働では年金の掛け金は払うが