経済学と経済学者は、閉鎖的で傲慢であり、他分野との交流をあまり行わないと批判されることが多い。本稿では、他の学問分野による経済学の引用と、経済学論文における他分野への引用に関する最近の分析を用いることにより、こうした批判はもはやあてはまらないということを示す。経済学以外の研究を引用する例が増加する一方、他の学問分野に経済学の研究が引用される例も増えている。経済学の実証研究の量と質の向上が、経済学以外の研究者にとって経済学の重要性を高めていることをデータは示唆している。 2017年にシカゴ大学のリチャード・セイラー教授がノーベル経済学賞を受賞し、ようやく行動経済学に相応の注目が集まるようになった。セイラー教授らは、経済学の標準的モデルである合理的意思決定と、心理学が研究対象としている一見不合理な意思決定との違いに、強い関心を寄せている。行動経済学者は、この2つの社会科学分野の間の領域で研究を