去年の年末から今年の初頭にかけて出版された2冊の大著を,レヴューしようしようと思っていたのだけれどずるずると書けずに結局今頃レヴューするという。 藤波伸嘉『オスマン帝国と立憲政』は,20世紀初頭,バルカン戦争でヨーロッパ領を喪失する直前のオスマン帝国における政治論議を丹念に分析し,そこから「オスマン的公共圏」の有様を描き出している。オスマン帝国と立憲政 ?青年トルコ革命における政治、宗教、共同体?作者: 藤波伸嘉出版社/メーカー: 名古屋大学出版会発売日: 2011/12/19メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 興味深いのは,当時の帝国における立憲政をめぐる議論において,「正教会の特権」が主要な問題の1つになっていたということ。つまり,個人主義的な立憲主義か,共同体的な立憲主義かという対立が問題となっていた。最近の用語でいえば微妙に違うかもしれないけれどリベラルとコミ