物神化する文化 Commodity Fetishism of "Culture": On globalization of the cultural heritage. 池田光穂(IKEDA, Mitsuho) ——人間 の現象は物質性に浸透しつくされている(渡辺 1987:653) ——この文化財と呼ばれているものが文化の記録であることには、それが同時に野蛮の記録で あるこということが分かちがたくつきまとっている——ヴァルター・ベンヤミン「歴史哲学テーゼ」(1940) 【目次】 1.旅する事物 2.文化遺産の想像力 3.文化の流通 4.考古学遺物の社会的文脈依存性 5.結論:物神化する文化 6.注釈 文献 1.旅する事物 歴史的に由緒ある事物は人びとにステレオ タイプされた感銘を与える。だが、いったん事物がおかれた文脈が少しでもずれると、それは人びと に複雑で奇妙な気持ちを喚起する■1。