親の死と同時に数々の法要と相続手続き等が押し寄せてくる。 私の実家は古いしきたりが残る土地だ。そこで私は幾度も慇懃に「ここからは男だけで」と、女子供として排除される目にあった。だが先日の法要は違った。「ここからは男だけで」と言われた瞬間、私は「じゃあ私は今日呼ばれて来たけど、帰ります」と席を立った。瞬時にその場の空気が険悪になった。 「男だけで」と言った男性の妻がその空気に辟易し「ええかげん学習せい」と小声で夫を叱った。“伝統”とやらに触れる度に必ず遭遇する私と男たちの喧嘩にその男の妻が悲鳴をあげたのだ。 そりゃ妻にしてみればまる1日がかりで来客向けに準備した料理を毎度の喧嘩で台無しにされることを思えば、和やかな歓談と会食を望むのも理解できる。予想外の加勢を得た私はこれまでになく勢いづき声を荒げ、ついでに声高に言ってみた。 「参加するのなら私だけじゃない。そっちの女性全員、参加すべきだ」