前回は権力を類型化し、とりわけ情報社会におけるアーキテクチャ型権力が持つ力に言及した。サイバー空間における権力は目に見えない形で我々の意思決定に介入するが、それは必ずしも善悪では判断できず、適切に用いて行かなければならない。 ところで、目にみえない権力といえば、先月暴露されたアメリカの巨大監視プログラムの問題が今注目を浴びている。本稿は、元CIA(米中央情報局)の職員であるエドワード・スノーデン氏(30)が告発した一連のアメリカの機密情報、および事件の進展について、事件のあらましといくつかの論点について取り上げたい。 暴露された監視プログラム「PRISM」 2013年6月6日、英ガーディアン紙や米ワシントン・ポスト紙がNSA(米国家安全保障局)の極秘監視プログラム「PRISM」の存在を暴露した。それによれば、PRISMを利用することでEメールやインターネット通話の記録、動画、画像、SNSの