『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』など脚本家として数々の傑作に携わりながら、2018年公開のアニメーション映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』では脚本のみならず初監督も務めた、岡田麿里。 取材・文=吉田大助 アニメーター経験のない脚本家が劇場用長編アニメの監督を務めることは極めて異例だが、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭で第5回ニューウェーブアワード(クリエイター部門)を受賞するなど結果を残した。9月15日公開予定の『アリスとテレスのまぼろし工場』は、業界最注目のアニメーションスタジオ・MAPPAとタッグを組んだ、待望の監督第2作だ。 映画公開が待たれるなか、ひと足先に原作小説が刊行された。岡田が自作脚本をもとに小説を執筆するのは、『あの花』以来7年ぶりとなる。実は、小説版『あの花』の下巻刊行時の本誌インタビューの時に、こんなことを語っていた。「小説だからできることって、