思うのだが、「○○○○○はアメリカの意向を受けて動く人間だが、○○○○はアメリカにものが言える人間だ」などというステロタイプな善悪二元論は捨てた方が良い。岸信介にせよ正力松太郎にせよ、CIAから資金援助を受けていたところで、根本的なところでは彼ら自身の信念に従って行動したのである。佐野眞一は、正力松太郎が "PODAM" というコードネームを持つ「CIAのエージェント」だと言われていることについて「それがどうした」と言う。正力はアメリカをも手玉にとろうという気概を持っていたというのである。その通りだと思う。岸信介にしたところで、CIAから金をもらってアメリカの意のままに動く「売国奴」だったのではなく、岸は岸なりに「国益に資する」と信じて60年安保の改定を強行したのである。このことを著書で指摘して、私の目を開かせてくれたのは、今ではおかしな方向に行ってしまった宮崎学である。 ましてや、195